大阪・関西万博を終えて(山岸 優)

2026.4.27 山岸 優 技術士(建設部門)


万博(国際博覧会)について

 ホームページを繙くと、「万博」は世界中からたくさんの人やモノが集まるイベントで、地球規模のさまざまな課題に取り組むために、世界各地から英知が集まる場とあります。

 万博は一般博と特別博に分類され、その違いは右の表のとおりです。

 

 日本で過去に開催されたいくつかの万博も紹介しながら、2025年の大阪・関西万博を振り返ってみます。

  一般博 特別博

開催間隔

5年 二つの登録博覧会の間 

開催期間

6か月以内 3か月以内

会場面積

制限なし 25ヘクタール以内

テーマ

一般的・総合的な内容 特定・専門的な内容

パビリオン

参加国が費用負担 博覧会自身が建設

大阪万博、大阪・関西万博、愛知万博 沖縄海洋博、つくば科学博、大阪花博


1970年大阪万博(EXPO'70)

 1970年の大阪万博は、「人類の進歩と調和」(英語: Progress and Harmony for Mankind)をテーマとして、高度経済成長期の技術発展と、人間らしい生活や自然環境との調和を目指し、アジアで初めて開催されました。主なポイントは以下の通りです。

  • テーマの背景: 技術文明の進歩による豊かさを追求しつつ、自然破壊や環境問題への意識を背景に、技術と人間、自然の「調和」が重要視されました。
  • シンボル: 岡本太郎が制作した「太陽の塔」がテーマ館のシンボルとして掲げられ、このテーマを視覚的に表現しました。
  • テーマソング: 三波春夫の『世界の国からこんにちは』が公式テーマソングとして広く親しまれました。

 このテーマに基づいて、より豊かな生命の充実、自然の利用、生活の設計、相互の理解という4つのサブテーマが設けられていました。1970年に日本、そしてアジアで最初に開催された大阪万博(EXPO'70)は日本の高度経済成長をシンボライズする一大イベントとなりました。

参加国:77か国、入場者数:6422万人

開催期間:1970年3月15日~9月13日(183日間)

1日最大入場者数 : 83万6千人 ※9月5日(土)に記録 、平均入場者数:35万人

会場面積, 330ha

入場料, 大人(23歳以上)800円、青年(15~22歳)600円、小人(4~14歳)400円(当時の平均月収は約5〜6万円であり、現在と比較すると比較的高価な設定でした)

会場跡地:万博記念公園として整備されている。

 


「愛・地球博」2005年日本国際博覧会(愛・地球博、愛称:愛知万博)

 2005年3月から9月まで愛知県長久手市、瀬戸市などで開催された、21世紀最初の国際登録博覧会です。「自然の叡智」をテーマに121カ国が参加し、約2,200万人が来場した世界的イベント。2005年3月25日~9月25日(185日間)1日平均の来場者数は約8万1千人で、会期中を通じて熱烈な支持を集めました。

 会場跡地は現在「愛・地球博記念公園」になっています。。

 


2025年大阪・関西万博

 大阪・関西で開催された国際博覧会です。2005年に開催された愛・地球博に続き、20年ぶりに日本で開催された万博には多彩な魅力がありました。

 

 (資料:2025年日本国際博覧会協会)

開催期間 2025年4月13日(日)~ 10月13日(月)(184日間)

入場者想定規模 約2820万人(内インバウント約350万人)

開催場所 大阪 夢洲(ゆめしま) 

 

 日本経済及び大阪・関西の地域経済の活性化やビジネス機会の拡大による中小企業の経営強化により、約2兆円の経済波及効果が見込まれています。

  1. 大阪・関西が世界に誇るライフサイエンス、バイオメディカルの集積が、万博のテーマに沿った新たなイノベーションでさらに発展する。
  2. 悠久の歴史・文化を誇る大阪・関西が、異なる文化との交流を通じて、さらに豊かなものとなり、世界における圏域の認知度が向上する。
  3. 日本の様々な分野における次世代の若いクリエーターが、自らの才能を世界に向けて発信できる。
  4. 日本には世界で最も安全な環境、先進的な交通インフラが整備され、大阪・関西は、世界の主要都市のどこからでも容易にアクセスできる。

2025年大阪・関西万博で実現すること

  1. 最先端技術など世界の英知が結集し新たなアイデアを創造発信
  2. 国内外から投資拡大
  3. 交流活性化によるイノベーション創出
  4. 地域経済の活性化や中小企業の活性化
  5. 豊かな日本文化の発信のチャンスhttps://www.expo2025.or.jp/overview/purpose/

※写真提供:2025年日本国際博覧会協会


テーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」

コンセプト

People's Living Lab(未来社会の実験場)

1. 展示をみるだけでなく、世界80億人がアイデアを交換し、未来社会を「共創」(co-create)。

2. 万博開催前から、世界中の課題やソリューションを共有できるオンラインプラットフォームを立ち上げ。

3. 人類共通の課題解決に向け、先端技術など世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信する場に。

https://www.expo2025.or.jp/overview/

公式キャラクター 「ミャクミャク」 https://team.expo2025.or.jp/ja/apply

* 特記:会場内の写真等は注記のあるものを除き、全て筆者撮影

 

 今回の大阪・関西万博は開催当初、宣伝、ポスター少なく、大阪以外ほとんど知られていないような感が漂っていた。夏場以降、TV等で取り上げられ、後半に入場者数増加しました。話題を呼んだ大屋根リングは、柱貫構造で、釘等を用いず、解体も可能でな構造、大断面集成材を用い、杉材料は、福島県浪江町の林業業者が町おこしで開発、事業化に成功したもので、解体後、材料は別の建設現場で有効利用されています。

 同様に解体後テントの屋根を再加工し、手提げバッグ等に再加工するなど資源の有効活用しているケースも増えています。


大阪・関西万博の来場者数は歴代何位?閉幕後にみえた経済効果と課題

 

 大阪・関西万博の閉幕から1カ月が経過し、その経済効果が報じられました。大阪メトロは、万博の来場者輸送に貢献した職員に特別手当を支給し、さらにJR西日本も社員に一時金を支給しました。両社とも万博効果を含む需要増で、4~9月期の純利益が過去最高を記録しました。

 

世界の歴代万博 来場者数ランキング(トップ10)

順位 万博名 開催年 来場者数
1 上海万博 2021年 7,309万人
2 大阪万博 1970年 6,422万人
3 モントリオール万博 1967年 5,031万人
4 セビリア万博 1992年 4,181万人
5 ブリュッセル万博 1958年 4,145万人
6 大阪・関西万博 2025年 2,558万人
7 ドバイ万博 2020年(2021~22年) 2,410万人
8 愛知万博(愛・地球博) 2005年 2,205万人
ミラノ万博 2015年 2,150万人
10 ハノーバー万博 2000年 1,810万人

BIE公式ウェブサイトおよび大阪・関西万博公式ウェブサイトより帝国データバンク作成

 


 

筆者と万博との関わり

 筆者の勤めた太陽工業(株)は創業以来テント・膜構造物に関わる事業を発展させ、大阪万博、大阪・関西、愛知万博の膜・テント構造物設計・製造・施工に関わりました。

 つくば万博(国際科学技術博覧会・科学万博-つくば'85)は、1985年(昭和60年)3月17日から9月16日まで、茨城県つくば市で開催されました。48か国が参加し、総入場者数は20,334,727人でした。184日間の会期中、1日平均約11万人、当時の日本人の約6人に1人が来場した計算となり、特別博覧会として当時の最高記録を樹立しました。テーマは「人間・居住・環境と科学技術」で、184日間にわたり世界中から多くの来場者が訪れた伝説的なイベントでした。

 筆者はサントリー館、カナダ館、西ゲートの建設に従事しました。特に「燦鳥館(さんとりーかん)」は、シジュウカラガンの物語を通して自然と科学の調和をテーマにしたパビリオンで、26m×35mの巨大スクリーンで上映された映像により、当時の科学技術の凄みを感じさせる人気パビリオンの一つでした。会社の若い仲間と共に科学万博パビリオンの建設に大きく関われたことは幸甚の極みでありました。

写真:サントリー館 及び 会場全景 (太陽工業ホームページ)

 

設計:左高啓三I.I.E国際環境研究所   構造:斎藤公男、T.I.Sパートナーズ

施工:竹中工務店  テント膜設計・製造・施工:太陽工業   鉄骨:川田工業