はじめに
技術士としての専門知識を活かしながら、SNSを活用して営業・ブランディングを行うことは、現代において極めて有効な手段です。技術士は特定の分野に深い知識と経験を持つ専門家ですが、営業やマーケティングの経験が少ない場合が多いでしょう。しかし、SNSをうまく活用することで、自らの強みを広く発信し、仕事の依頼や新たなビジネスチャンスを得ることができます。
私は技術士(経営工学部門)として、企業のフルタイム勤務と並行しながら、講演・講座・セミナー・執筆・コンサルティングといった個人事業を行っています。SNSの活用により、多くの講演やセミナー依頼を受け、業界内での認知度を高めてきました。本コラムでは、技術士がSNSを活用して営業を行うための実践的な戦略を解説します。
1. 技術士におけるSNS営業の重要性
① 技術士の営業課題
技術士は、資格そのものが営業ツールになるわけではありません。多くの技術士が「専門知識があるのに、依頼がこない」「顧客との接点が少ない」といった課題を抱えています。そのため、自らのスキルや実績を外部にアピールし、潜在顧客に認知してもらう必要があります。
② SNS活用のメリット
SNSを活用することで、以下のようなメリットが得られます。
• 認知度向上:技術士の専門分野や実績を広く発信できる
• 信頼構築:専門知識を発信することで、フォロワーからの信頼を得られる
• 営業コストの削減:SNSなら広告費をかけずに情報発信が可能
• 顧客との接点増加:業界関係者や企業担当者とのつながりを作れる
2. SNS活用の基本戦略
① ターゲットの明確化
SNSでの営業を成功させるには、「誰に向けて発信するか」を明確にすることが重要です。技術士の場合、ターゲットは主に以下のようになります。
• 企業の担当者・経営者(技術支援・コンサル依頼を受けるため)
• 講演・セミナー会社(講師依頼や研修登壇の可能性がある)
• 技術職紹介会社(技術系専門職の求人・マッチングの可能性がある)
• メディア関係者(取材・執筆依頼の可能性がある)
• 個人事業主(営業方法や商品化・利益相談などの需要がある)
• 技術士を目指す人(講師・教育事業の顧客となる)
② 適切なプラットフォーム選び
技術士が営業で活用するなら、以下のSNSが特に効果的です。
SNS | 特徴と活用ポイント |
X(旧Twitter) | 短文で専門知識やトレンドを発信し、関係者とつながる |
業界コミュニティでの情報共有に役立つ | |
YouTube / TikTok | 動画で技術解説を行い、幅広い層にアプローチできる |
ビジュアルコンテンツ(スライド画像・ショート動画)で情報を伝えやすい |
私はXやFacebookで投稿を続けることで、多くの企業関係者・技術士とつながりを築きました。また、YouTubeやTikTokでは技術解説動画を公開し、専門知識を分かりやすく伝えています。
X・Facebook・Instagramには同じ内容を投稿し、YouTubeの動画は切り抜いてTikTokやショート動画として発信しています。ひとつのコンテンツを複数の媒体に展開することで、効率的にリーチを拡大しています。
③ 発信内容の工夫
技術士としてのブランディングを高めるためには、「発信内容」が重要です。以下のようなコンテンツを投稿すると、フォロワーが増え、営業につながりやすくなります。
• 専門知識の解説:「○○技術のポイント」「技術士が解説する最新トレンド」
• 実績紹介:「○○の案件に関わりました」「講演しました」
• 仕事の裏側:「技術士の1日」「技術士の仕事の実態」
• 業界ニュースへの意見:「○○業界の最新動向」「○○法改正の影響」
• 資格・キャリア情報:「技術士試験の対策法」「技術士のキャリアパス」
発信の際は、専門用語を使いすぎず、一般の人でも分かりやすい表現を心がけることがポイントです。
3. 売れるまでの流れ
1. (まずは)自分を知ってもらう
キーワード:インパクト、媒体(SNS、YouTube、記事掲載、メディア、Webサイト)
2. 出来ることを知ってもらう
キーワード:実績
3. 強みを知ってもらう
キーワード:専門性、差別化
4. 信頼してもらう
キーワード:資格、経歴、権威
5. 申し込みしてもらう
キーワード:ホームページ、サービスメニュー
ポイント: 毎朝SNS投稿
• 稼働中:常に活動している印象を与える
• 見る習慣:フォロワーに自分の情報を定期的に見てもらう
• 単純接触効果:頻繁に目にすることで信頼感が増す
• 応援:フォロワーからの支持を得やすくなる
投稿の内容
• 多ベクトル(仕事の告知、専門技術紹介、前向きなこと、グルメなど趣味)で飽きさせない
• マイナスは言わない(ネガティブな投稿は控え、建設的な内容を心がける)
• バズ狙いではなく、信頼を落とさない(信用失墜につながる投稿はしない)
4. SNS営業の効果・実績
• 顔出しの個人事業開始40日間で売上44万円、初月に講演・セミナー5件成約、
1年目から年間スケジュール30件以上の講演・セミナー依頼
• YouTubeチャンネル開設後、動画5本投稿時点で、YouTube経由にてセミナー依頼3社、YouTubeライブゲスト依頼、
29万円講座コース売上(これとは別で、既存ルートからのお申し込みは継続したうえでのプラスオン)
5. SNS営業媒体
資産型(ストック型)営業
• SNS(X、Facebook、Instagram、TikTok)
• YouTube(動画、ショート、他者チャンネルゲスト出演)
o YouTube動画の切り抜きをショートとTikTokへ展開
• 執筆(専門紙、機関誌、企業コラム、日本技術士会キャリアモデル)
• ラジオなどメディア(録音をYouTube公開)
• Webサイト(自分のWebサイト、講演・セミナー会社のWebサイト)
流動型営業
• 講演・セミナー受講者様から次の案件、リピート依頼
• 紹介
(SNSメッセージ機能からのご連絡も多数)
6. 実践的な営業アプローチ
① フォロワーとの関係構築
• コメント・DMで積極的に交流する
• 他の技術士・企業の投稿にリアクションする
• Q&A形式でフォロワーの質問に答える
② コンテンツを営業ツールとして活用
• SNSの投稿をポートフォリオ化し、依頼時に見せる
• YouTube動画を営業先に送る
• 投稿をまとめて記事にし、資料として活用する
③ オフラインと組み合わせる
• セミナー・展示会での登壇 → SNSで拡散
• 名刺交換時にSNSのアカウントを案内
• SNSでつながった人とオフラインで会う
7. まとめ
技術士がSNSを活用して営業することは、現代のビジネス環境において非常に有効です。SNS投稿の継続、売れるまでの流れの意識、ストック型と流動型営業の組み合わせにより、安定的に案件を得ることが可能です。
SNS営業の具体的な戦略や、あなたに合った最適な営業方法について相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。
個人事業のSNS活用や、技術士向けの営業戦略を具体的に学びたい方は、講演・コンサル依頼を受け付けております。

【筆者プロフィール】
小松 加奈
技術士(経営工学部門)、利益改善コンサルタント、資格・スキル活用コンサルタント、技術士合格講師
日系大手製造業に勤務しながら(2007年新卒入社、技術系総合職)、複業として個人事業も展開している。
工場現場担当者の経験もある、現役会社員の技術士。最前線で『リアルタイム』の『現場』『現物』『現実』『最新技術』と日々向き合っている。
勤務先では、開発部・工場(開発課・製造課・生産管理課)・商品部・生産本部生産管理部にて、工場現場から、本部での管理業務、生産原価管理システム構築、新設工場の生産管理業務構築まで務める。原価改善プロジェクト多数実施。改善・原価教育多数実施。
個人事業では「製造業特化型コンサルティング」「完全カスタマイズ型コンサルティング(全業種対象)」「資格・スキル活用コンサルティング」「技術士合格講座(一般部門全20部門対象)」を展開。
科学技術分野の文部科学大臣表彰(文部科学省主宰)の技術審査員も務め、400件以上の製造業改善事例を審査。
利益改善に関するコンサルティングや、合格に導く技術士受験指導にも定評がある。
【 資格 】
技術士(経営工学部門)、第一種衛生管理者、ハム・ソーセージ・ベーコン製造技能士、フォークリフト運転技能、フードコーディネーター 他
■Webサイト
■YouTubeチャンネル
技術士が経営工学技術をもとに、『24時間公私ともに楽にする技術』を『誰でも今すぐ使える』形でわかりやすく伝授❗❗
【2週間ごとに金曜日19時投稿】